私たちが桜峠に着いた時、舞人君は大破したスープラの中で血を流し苦しんでいました
ある人たちに言われて此処に来たけど、嫌な予感が的中するなんて・・・
お願い、舞人君死なないで まだ、終わりたくないよ・・・・・




記憶喪失編完結 罪と罰、そして・・・・ 中編




〜舞人が出て行った直後の桜井邸〜

舞人君が出て行った後、私たちはしばらく泣き続けていました
私たちの胸に残るのは後悔、自己嫌悪、そしてまだ終われないという思い
舞人君に謝りたい そしてもう一度同じ道を歩みたい
その事が頭から離れようとはしませんでした

「・・・謝らなきゃ」
「ゾンミ・・・?」
「舞人君に謝らなきゃ・・・・・」
「でも、あの人は出て行ってしまったんですよ」
「だからって諦められるの?小町ちゃん」
「・・・諦められるわけないです。まだ、あの人と一緒にいたいです!」

小町ちゃんの一言で皆が顔を上げ、一斉に頷く
そう、まだやるべき事は残っている
私たちは舞人君がいてこそ笑っていられる
今度こそ、同じ失敗は繰り返さない! 皆で支えあいながら生きていくんだ!

「とりあえず、あいつの行きそうな場所へ・・・」

ひかりさんが言いかけた次の瞬間、突然そよ風が部屋の中に入ってきました
そして桜の花びらが舞う中から出てきた少女と少年は焦っている様子でこう告げてきたんです

「今から急いで桜峠に行ってください。あの人が危険です」
「早く行くんだ。このままだと彼は孤独なままこの世を去ることになる」

あの人・・・・? 彼・・・・?っ!まさか!?

「貴方達は!?それに舞人君が危険ってどういうことなの!?」
「僕たちの事は後だ。さ、早く!!」

聞きたい事は色々あるけれど、嫌な予感がした私たちは二手に分かれることにしました
私(希望)、つばさ、郁奈ちゃんが峠に、他のメンバーは家に残り彼らから事情を聞く事になりました
すぐさま三人でZに乗り込み、峠へ向かう
どうか、杞憂で終わってください 舞人君を失うわけにはいかないんです・・・・・





近道を使って峠に着いた私たちはすぐに大破したスープラを発見しました
最悪の事態が頭をよぎる けど、その考えを打ち払い中の状況を確認すると

「う・・・・ううう・・・・」

頭から血を流しうめき声を上げる舞人君がそこにいました
つばさはすぐに救急車を呼び、私と郁奈ちゃんで応急手当をしました

「舞人君!!頑張って!!」
「舞人さん!!しっかりしてください!!」

思ったより傷は浅かったものの舞人君はすぐに気絶してしまいました
これ以上は私たちじゃ何もできない、早く来て・・・・
私達にとっては気の遠くなるような時間が過ぎ、ようやくレスキュー隊が来てくれました

「おい!?大丈夫かしっかりしろ!!」

担架に乗せられぐったりしている舞人君
私たちは救急車に同乗し、黒伸病院へ向かいました
着いた先には私たちの担当医だった拓哉先生がいて、すぐに指示を飛ばし始めました

「舞人は任せろ。だから君達は舞人の帰れるところを守っててくれ」

そういい残した先生はすぐさま部屋の奥へ消え、私たちは待合室のソファーに腰掛けて待ち続けました
しばらくして連絡を受けたひかりさん達が駈け付けて、私たちは状況説明をしました

「そう、後は舞人次第という事ね・・・こっちは凄い事聞かされたわ」

ひかりさんの口から出た言葉は私たちを驚かせるには十分な物でした
舞人君・・・・ごめんね・・・私達、何も支えてあげられなかったんだね・・・・・

「とにかく、今は祈りましょう。舞人が無事でありますようにってね・・・・」

ひかりさんの言葉に皆が頷き、ひたすら祈り続けること数時間
手術室のランプが消え、中から拓哉先生が出てきて私たちにこう告げました

「オペは成功だ。かなり危ない状況だったがな、舞人の奴が頑張ったよ」

その言葉に安堵し、その場にへたり込む私達
拓哉先生によると、頭部に数箇所の裂傷、右腕骨折、あばら骨骨折で完治にはかなりかかるそうです

「とりあえず、峠は越した。後は舞人が目覚めるのを待つのみだ・・・」

集中治療室へ運ばれていく舞人君を見届けた後、私達は一旦家に戻る事にしました
舞人君が帰るところを守るため、そしてやらなきゃならない事をする為です

「舞人君、次に来る時は何も心配する事のないようにしてくる。だから・・・頑張って・・・・」

そして病院を後にした私達は家に戻り、休息を取った後再び動き始めました
舞人君が安心してここに戻ってこれるように
そしてまた皆で暮らせる為に、心配事を片付けよう
そう誓い合った私達を励ますように、そよ風が吹いていました
その中で私達は確かにこう聞こえたんです

「もう、大丈夫です。だから・・・・幸せになってください」と・・・・・・





後書き

中編終了〜
華蓮「舞人君助かって良かったわね」
翠「まあ、秀一さんはダーク書けない人ですし」
確かにね・・・・次でラストだと思われます では!!

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