俺と山彦が捕まった後、お袋に桜坂に帰れと言われた
その時のお袋の顔は今まで見た事のないほどの悲しそうな顔だった
俺もいい加減疲れたしな・・・・・
ここで決着をつけるとするかな



記憶喪失編完結 罪と罰、そして・・・・ 前編




桜坂に着いた俺たちは山彦と別れ無言のまま桜井邸に帰ってきた
リビングに入りしばらく重苦しい沈黙が続く
全員俯いて必死に涙を堪えている
そして口火を切ったのは希望だった

「もう、私たちじゃ、駄目なの・・・・?」
「駄目にしたのはお前たちだろう・・・・・?」
「け、けど!」
「思い出、信頼、そして家族・・・・これ等全てを裏切ったんだ」
「・・・・」
「もう、俺じゃ駄目なんだよ・・・・中途半端な存在の俺じゃ」
「舞人君・・・・・」
「俺といる限りいつまでも続くんだ。この絶望はな」

そう、終わる事のない絶望・・・
だからこれ以上彼女たちに付き合わせる訳にはいかない

「俺はこの家を出て一人で暮らすよ。もう一緒にはいられないからな」

俺は改めてそう宣言する すると小町、つばさ、青葉、こだまが立ち上がり

「・・・・どうして?どうして一緒にいられないんですか?」
「あんたがいなけりゃここの皆はいつまでも心に傷を残すよ」
「嫌だよ・・・・このまま終わるのは嫌だよ!!」
「舞人君がいなきゃ駄目なんだよ!?舞人君がいなけりゃ、私たちは・・・・っ」

・・・・・やっぱりそう簡単には引き下がらないか
ならば現実を思い知らせるのみだ

「そうやって言いながらあいつ等を選んだんだろう?」
「!!!!!」
「忘れられないさ、あの時の・・・俺を警戒するあの顔は」
「っ!・・・・・」
「あいつ等といた時のあの楽しそうな顔・・・あれがお前らの本心なんだろう?」
「ち、ちが・・・」
「なら何が違うんだ!?それが証拠だろうが!!俺と一緒じゃ駄目だってな!!
 もうこれ以上傷つけられるのはごめんなんだよ!!」
「ちょ、ちょっと・・・」
「ひかり、かぐら、郁奈だってそうなんだろう!?何もしなかったのがいい証拠だ」
「・・・・聞き捨てならないわね。あんたに連絡したのは私よ?」
「・・・舞人さんなら何とかするって、思ったんです・・・」
「・・・・私もです」
「なら、何故あいつらに付いて来た!?お前らだけでも来れた筈だろうが!!」

その一言で全員が黙り込む
もう、これ以上は時間の無駄だ そろそろ幕引きといくか

「これで分かっただろう?もう手遅れなんだとな」
「ま、待って・・・」
「もう、皆といるつもりはない・・・俺の事は忘れてくれ。じゃあな」

俺はそういい残すと車まで一気に走り乗り込む
そして唸りを上げ走り出すスープラ
俺が向かう先は桜峠だ
最後の、そして最高の走りを見せてやる!!





〜桜峠〜

周りにはだれもいない静かな夜
目を閉じると今までの思い出が走馬灯のように駆け巡る
練習の事、バトルの事、そして希望たちの事・・・・
辛かった時もあった。けど、楽しかった・・・
けど、これからは一人で生きていかなくちゃいけない
ならば最後にここを全力で走りきろう
いつまでも色あせない思い出とするために

「よし、いっくぜえええ!!!」

得意のロケットスタートが決まり、最初のコーナーへ突っ込んでいく
ブレーキング、ヒールアンドトゥ、シフトダウン・・・・
考える前に体が動いている 膨大な練習を重ねた者のみが成せる物
これが俺が今まで培ってきたもの全てだ!!

ギャアアアアアア ゴゥアアアアアアア

2つ、3つとコーナーを順調にクリアしていく
だが最終コーナーで異変が起きた
突然エンジンに異常が発生したらしくパワーが落ちていく

「な、なんだ!?・・・・っ!!しまった!!」

動揺した俺はハンドル操作を誤り、必死に体制を立て直そうとする
だが、その行為もむなしくマシンがスピンしてしまう
迫りくるコンクリートの壁 そして

ギャアアアアアアア ガッシャアアアアン

勢いよく壁に激突してしまった

「ぐ・・・ああ・・・・あ」

やばい・・・思い切り頭を・・・・
右手も感触がない・・・折れちまったか・・・・
くそ・・・血が止まらない・・・・

「舞人君!?しっかりして!!舞人君!!」

誰かの声が聞こえる・・・・
駄目だ、感覚がなくなっていく・・・・
これが・・・俺の・・・運命・・・か・・・・・

徐々に薄暗くなっていく視界
俺が覚えている中で最後に見たのは泣いている希望だった
彼女たちが幸せになれますようにと祈りつつ
俺は意識を手放した・・・・・・




後書き

このSSは太陽さんのSSを元に作りました
華蓮「舞人君ピンチね」
翠「このまま終わるんですか?」
ま、その辺は見てのお楽しみって事で・・・
では恒例の・・・・

「「「ご意見、ご感想は掲示板かsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします。では!!」」」