「かったりぃ・・・・・・・・」
その言葉と共に少年、朝倉 純一は深いため息をついた。
今現在、少年の目の前では3人の少女が睨み合っている。
義妹、朝倉音夢は語る。
「兄さんは絶対に渡しません!!」
学園のマドンナ、白河ことりは語る。
「朝倉君とラブラブするっすよ!!」
同じく学園の人気者、水越眞子は語る。
「朝倉はぜぇぇったいにあたしと恋仲になるんだから!!」
睨み合う3人の間に散る激しい火花。
果たして、朝倉少年の心をつかむのは一体誰であろうか・・・・・・・・
朝倉少年の、嫉妬に溢れた非日常
事の起こりは数日前のこと。
屋上にて開催された、水越姉妹主催の鍋パーティ。
参加者は純一、ことり、音夢、美春、暦、水越姉妹。
すると、ことりの姉である暦がこんな事を言った。
「朝倉、お前彼女を作ろうとか思ったこと無いのか?」
その言葉に静まり返る女性陣。
対して純一の反応はというと・・・・・・
「ん〜・・・・・かったりぃし、俺みたいな奴彼氏にしようと思う子なんていないだろうし」
と、いかにも彼らしい言葉で対応する。
すると・・・・・
「ほう、我が同士朝倉よ。お前も恋を知る年か」
「おわっ!いきなり後ろに現れるな杉並!」
純一のクラスメートで、学園一の秀才にして問題児の杉並がどこからとも無く現れた。
これには流石に女性陣もビックリした様子。
だが杉並は、それを気にも留めずに我が道を進む(笑)。
「ふっ、朝倉の悩むところ常に俺ありだ。さぁ何でもはなしグハッ!」
「いきなり出てきて寝言ほざくんじゃねぇ!!」
純一の右ストレートが綺麗に決まり倒れ付す杉並。
対して純一はいつもの事なので、それほど気にせず食事を再開する。
しかし。
「え、えっと・・・・朝倉君。質問・・・・いいかな?」
「ん?別に構わんが」
「もし朝倉君が好きだっていう女の子がいたら・・・どうします?」
顔を真っ赤にしながら尋ねることり。
他の女性陣も興味津々といった感じで純一の返答を待っている。
そして純一の返答はというと。
「ん〜・・・・まぁ付き合ってみたい気はするかもな。俺も一度くらい恋はしたいし」
その返答は彼女たちを奮い立たせるには十分な物だった。
瞬時に燃え上がる恋心を胸に、純一にアタックする事を決意する乙女達。
まず先陣を切ったのは・・・・
「なら私と付き合ってくださいっす!朝倉君のことずっと前から好きだったんですから!」
先ほどから顔が真っ赤なままのことりだった。
「・・・・・・へ?」
突然の告白に、目が点になる純一。
しかし純一が好きな女の子はことりだけじゃないわけで・・・・・
「ちょ、ちょっと待ってください!私だって兄さんの事大好きなんですから!」
「こ、こら音夢!抜け駆け禁止!私だって朝倉とラブラブしたい!」
音夢と眞子が揃って参戦表明をする。
程なくして3人の間に散る火花。
ちなみにサポート陣営は・・・・・
「音夢先輩、この美春が全力でサポート致します!」
「ま、姉としてことりの手助けするかねぇ」
「あらあら、眞子ちゃん青春ですねぇ」
と、手助けしつつ楽しく見守る方針である。
この時点で純一の逃げ道はなくなったと言える(笑)
「か、かったる・・・・・・」
目の前で繰り広げられる騒動を前に呟く純一。
この予感は、後にバッチリ当ってしまう事となる。
哀れな彼に合掌・・・・・
「「「兄さん(朝倉(君))、放課後だよ」」」
「んあ?もうそんな時間か」
放課後になるや否や早速純一を起こす音夢たち。
ちなみに担任である芳乃さくらも参戦しようとしたのだが。
「うにゃあ〜・・・・音夢ちゃんたち怖いからパス(泣)」
と、数の暴力に屈していた(笑)
流石に自分の命は惜しかったらしく、スゴスゴと引き上げていった。
哀れなり、芳乃さくら。
「さ、兄さん帰りましょう。今日の夜は長くなりそうですから♪」
「あ、ああ・・・・・って長くなるって?」
「もう、そんな事言わせないでよ〜♪」
満面の笑顔で純一を連れ出そうとする音夢。
純一はいつもと違う音夢にちょっと引いている様子。
だが・・・・・
「朝倉君、今日晩御飯作りに行っていいっすか?」
「あ、私も行くよ。今日お姉ちゃん出かけるから暇なんだ」
「あ、ああ・・・・・・」
ライバル2人が黙って見ている訳もなし。
3人の背景には火花どころか凄まじい業火が広がっている。
再びため息をつく純一。ところが・・・・・
「ふっ、モテモテだな我が同士朝倉よ」
「どわっ!てめぇ杉並!いきなり後ろから現れるんじゃねぇ!」
突如現れた杉並に驚く純一。
「ところでそこの3人の恋する乙女達よ」
「「「何ですか(何よ)?」」」
「この朝倉争奪戦の決着はどうつけるつもりだ?」
「なんなんだその朝倉争奪戦って・・・・・」
杉並の質問に顔を見合わせ考え込む3人。
朝倉は見も蓋もない言い方に呆れている。
だが、ここで杉並がある意味純一にとって究極の選択を迫る方法を提案した。
「ならばこの俺が一つ勝負方法を提案しようじゃないか」
「「「例えば?」」」
「自分の得意な分野だと不公平な勝負になる恐れがある。つまり・・・・」
「「「つまり?」」」
「自分が持つ女の魅力で朝倉をゲットしろという事だ!!」
ドォォォォンとSEを鳴らせながら3人を指差す杉並。
3人はその言葉を聞いた途端真っ赤になってしまった。
どうやら女の魅力の部分を深読みしてしまったらしい(笑)
まぁ、最終的にはそれを使うことになるだろうが(爆)
「おいコラ。なにかったるくなりそうな提案してやがる」
「ふっ、しかし同士よ。これ以外になにかいい提案でもあるのか?」
「う・・・・・・」
杉並の指摘にうろたえる純一。
だが、その後ろでは3人の乙女が新たなる進化を遂げようとしていた(爆)
「ふ、ふふふ・・・・兄さんと朝まで・・・・・」
「朝倉君と・・・・・・ポッ」
「朝倉と夜を共に・・・・・やだ、そんな朝倉ってばいきなり・・・・」
どうやら完全なる覚醒まであと少しといった所だろうか。
純一はそれに気付くが今回ばかりは気付くのが遅すぎた。
「お、おいお前ら「「「(兄さん 朝倉(君))っ!!」」」・・・・はい?」
声を掛けようとしたところでそれを阻まれる純一。そして・・・・
「さぁイきましょう兄さん!私たちの輝かしい未来が待っています!」
「朝倉君・・・・・優しくしてね♪」
「朝倉・・・・私初めてだから」
「ちょ、ちょっと待ておまえうわぁぁぁぁぁ・・・・・・」
必死の抵抗もむなしく、引っ立てられていった(笑)
後に残ったのは呆然とするクラスメートと満足そうな杉並のみ。
杉並は朝倉の様子を後にこう語った。
「朝倉の表情といったら是非とも写真か何かに残しておきたかった」と・・・・・・
翌日、疲れきった表情の純一と、非常に満足気な3人が居たのは別のお話・・・・・・
END
後書き
作者初のダ・カーポSS完成!!
純一「し、死ぬ・・・・・」
音夢「兄さんたら激しいんだから♪」
ことり「純一君、帰ったらお願いしますね♪」
眞子「純一〜。逃がさないからね♪」
華蓮・翠「「あ、あはははは・・・・・」」
うむ、頑張ってくれたまえ純一君。
純一「か、かったる・・・・・」
ま、あきらめろこの色男♪んじゃ締めるぞ。せーの・・・・・・
「「「「「「「ご感想、ご意見はBBSかsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします では!!」」」」」」」
おまけ
「音夢先輩・・・・・・美春も仲間に入れてくださ〜い♪」
「あらあら眞子ちゃんたら大胆・・・・私もアタックしてみましょうか♪」
「私は旦那が居るからな・・・・・あ、もしもし・・・・・?はい、一夫多妻制の件について」
『了承♪(一秒)あとは任せてくださいね♪』
「ええ、お願いします・・・・・・・ふぅ、これでよし。頑張りな、朝倉♪」