久保勝の教師奮闘記 −in 『SHUFFLE!』−
written by 龍馬&隼人
第5話
教室に着き、自分の席についた瞬間、稟は机に崩れるようにしてうっ潰した。
何故なら勝の早朝ロードワークに無理矢理付き合わされたからである。
しかも、早朝5時に叩き起こされ、寝惚け眼のまま7時までずっと走らされたのである。
ロードワーク終了後に勝の言った言葉は、稟にとっては新たな地獄の日々の幕開けの言葉であった・・・。
「俺様がこっちに居る間は、稟も俺と一緒に早朝ロードワークだ!ガッハッハッハ」
・・・とまあ、朝からそんな状況であった。
そんな稟の状態を心配してか、楓が側にやってきた。
楓の「大丈夫ですか?稟君」という問いに、何とか片手を上げて応じるも、元気がまるで無い。
そこへまた、シアやネリネも稟の側へやって来た。
二人とも稟達と共に登校してきたので、稟の状態は知っているのでやはり心配なのだろう。
しかし、そんな稟の状態を知らないクラスのトラブルメーカー×2までがやって来た。
「おはよ〜土見君に楓にシアちゃん、リンちゃん…って土見君、朝から何へばってんの?」
「グッドモーニング!シアちゃん、リンちゃん、楓ちゃん!…とついでに稟…って、朝から死んでるね」
などと言いながら、麻弓と樹が寄って来る。いつもなら稟は応戦するのだが、残念ながら勝の所為でそんな元気もない。顔を上げたかと思うと、すぐに机にうっ潰した。
「あれま?これはまた重傷ね…土見君に何があったの?」
という麻弓の問い掛けに、楓はただ苦笑を返すしかない。シアとネリネも同様である。
麻弓は3人の反応を見て首を傾げたが、とりあえず稟をほっといて話を進めることにした。
ちなみにその脇では、樹が稟に話を聞いていたりするのだが…
「まあ、土見君のことはほおって置いて、3人とも知ってる?今日私達のクラスに新任の先生が来るって話?」
「ううん、聞いてないよ?」
「私も知りませんでした…」
「何で麻弓ちゃんは知っているんですか?」
「稟…知ってたかい?」
「…俺も初耳だよ」
といった感じで、誰も知らなかったらしい。ついでにいつの間にか、樹や稟も会話に参加している。
麻弓はそれぞれの反応を見ながら、自分の知っている情報を語り出した。
「この間、うちのクラスの副担の先生がストレス性の盲腸で入院したじゃない?だから緊急に臨時の先生を呼んだらしいのですよ。それで、その先生が今日やって来るみたいなのよ」
「「「「「へぇ〜」」」」」
と、集まった5人に情報を語る麻弓。聞く側の5人は麻弓のもたらす情報に驚いていた。
「さすがバーベナが誇る、『ミス・パパラッチ』だね」
ドゴッ!
樹が感想を漏らした瞬間、麻弓の鉄槌が飛んだ。
ゴミを始末した後、麻弓が向き直り言葉を繋ぐ。
「ちなみに、臨時の先生は若い男の教師だそうよ。ある方面では世界的に有名な人らしいけど?」
「「「へぇ〜」」」
「…」
シア、ネリネに楓はまたそう言葉を漏らしたが、稟は何故か黙ってしまった。
そのことを不思議に思ったのか、麻弓が稟に問い掛けた。
「土見君、どうしたの?急に黙って?」
「…いや、何でも無い…と思う」
「そう?」
「…ああ」
「なら私は席に戻るわね。そろそろ先生が来そうだから」
そういって、麻弓は樹を引き擦りながら自分の席へと戻って行った。
また、それに連れるようにしてシアやネリネ、楓も自分達の席へと戻って行く。
しかし、楓は戻ろうとしたところを稟に呼び止められた。
「なあ、楓…」
「なんですか?稟君」
「臨時の教師って、勝兄じゃないよな…?」
「…え?」
「いや、だってな、若くて世界的に有名な男って…」
「でも、勝お兄さんはボクシングの関係でやって来たと言ってましたから…それにお兄さんは教師免許は持っていないと思いますけど…?」
「…んまぁ、だよなぁ…」
「稟君の考えすぎですよ」
「…そうだな。呼びとめて悪かったな、楓」
「いえ、いいですよ」
そう言って、楓はニッコリと微笑みながら自分の席へと戻って行く。
その後姿を見ながら、稟はやはり不安がよぎったが、無視することにする。
…しかし、その不安はわずか数分後に的中したのだった。
(続く…)
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<後書き>
−龍馬−
最初に、前回の更新から2ヶ月遅れてしまったことをお詫びします。
見苦しい言い訳ですが、PCが一時的に故障してしまったので、データが全部消えてしまったのです。
次に、第5話から勝の教師生活が始まるという話だったのですが、まったく始まってないどころか勝自体出てきてない(汗)
いや、ホント申し訳無いです(謝罪)
これからはこういったことが無いように、肝に銘じておきますので何卒御慈悲を〜(馬鹿)
まあ、謝るくらいなら行動に移さないと…
次回こそは、勝の教師生活がスタートします。今度こそご期待下さい。
それではまた次回…
※隼人は一身の都合により、しばらくお休みします。