翳李







不適切?!!!







「あんたなんて知らないわよ!!!どっかいっちゃえ!!」

アスカの平手打ちと共に吐かれた言葉

「僕だってもうしるか!!かってにすればいいだろ!!!でてってやるよこんなところ!!」

シンジはすぐに部屋に戻ると荷物を集める。

「もう、2度と戻ってきてやるか!!勝手にすればいいんだアスカなんて!」

玄関のドアを思いっきり閉めてシンジは家を出て行った。

「はんっ!あんなやついなくて清々するわ!!」

憎々しげにアスカは閉じられたドアを見ていた。







「何なんだよ!一体僕が何をしたって言うんだ!悪いのは全部アスカじゃないか!」

公園まで来てベンチに座りいかにも機嫌悪いですと言わんばかりの空気を纏っているシンジ。

そこにちょうどよく・・ある少女が通りかかった。

「あら、碇くんじゃない?どうしたのこんなところで?」

「あっ、洞木さん。聞いてよ!アスカが!」

シンジが買い物帰りのヒカリを隣に座らせる

「どっ、どうしたのよ?アスカがどうしたの?」

いつもの穏やかな雰囲気とまったく違うシンジに焦りながらも落ち着いて話を聞くヒカリ。

「あれはアスカが悪いんだ!!!どうして洗濯機にアスカのものとミサトさんのものを一緒にいれちゃいけないのさ!!僕のはちゃんと別にしてるのに!女の子どうしでしょ!!!けちつけるんなら自分でやればいいんだ!!」

憤怒しているシンジ。

喧嘩の原因を聞いて溜息をついているヒカリ。

”アスカ・・・・あなた・・またそんなくだらないことで喧嘩して・・・”

幾度となく関わったアスカ×シンジの喧嘩。

結局最後はお互い謝って終わるんだから・・・いい加減にしてほしいとヒカリはせつに願う。

「ねっ!そうだよね!僕は悪くないよね!洞木さん?」

アスカが悪いと連呼しているシンジ。

「そうね。アスカが悪いわね」

確かにアスカが悪いのだからそれ以上言うことはできない。

「それで、碇くんは・・・家をでてきたのね・・また・・」

また・・・かつて何度も繰り返された喧嘩。

その結果必ずシンジが家をでてくるのだ・・・・そして・・それを囲ってやるのがこの人の良いヒカリだった。

「行くところないんでしょ。うち来る?」

もはやあきらめたといつもの台詞を吐くヒカリ。

「ありがとう洞木さん」

シンジはヒカリの手を取り瞳を潤ませてお礼を言う。







「ただいまぁ〜」

ヒカリの家の扉を開け二人が帰宅。

「おじゃましまぁ〜す」

なれた様子で入っていくシンジ。

出迎えるのはヒカリの二つ年下の妹。

「あらっシンジ兄ちゃん!また喧嘩してきたの!」

こちらもなれた様子で迎え入れている。

「そうなんだよノゾミちゃん。」

歩きながらさらに愚痴を言っているシンジ。

ノゾミは楽しそうにそれを聞いている。

それを後ろから見ているヒカリ。

「・・碇くんももう少し戸惑ってもいいんじゃない?慣れてるからって・・・ここは女の子三人しかいないのに・・・・はぁ〜」

アスカ以外の女性を女と見ていないシンジ。

「アスカだって・・・・碇くん以外の男子を近づけようともしないのに・・・・・・どうせ・・・・」

ヒカリの呟きと共に入り口が勢いよく開けられた。

紅が息を切らしている。

「・・・ほら・・・来た・・」

もはや。。お決まりのようだ。

「ヒカリ!!シンジはどこっ!!!」

靴を脱いでドタドタと入っていくアスカ。

ヒカリは当然のように居間を指差す。

「だんけっ!」

そこに向かって一直線。

バタンっ!

扉を開けて中に入る。



「シンジ!!!」

「アスカ!!」

突然シンジの胸に飛び込むアスカ。

シンジは当然のように受け止める。

「シンジぃ〜ごめんなさい〜私が悪かったわ〜だからいなくならないで〜」

家にいたときの強気はどこへやらぽろぽろと涙をこぼすアスカ。

「アスカ・・・・僕の方こそごめんよ。アスカの気持ちも考えずに・・・」

ぎゅっと抱きしめるシンジ。

「アスカ」

「シンジ」

見詰め合う二人・・・・・そして・・・


でぃ〜ぷなKISS!!!

横でそれを顔を真っ赤にして観察しているノゾミ。

ヒカリは違う意味で真っ赤だ。

「シンジ・・帰って来てくれる?あたし、シンジがいないともう駄目なの」

「アスカ・・・すぐに帰るさ。僕の帰る場所はアスカのいるところなんだから」

再びでぃ〜ぷなKISS



三分間ほどシンジとアスカのくぐもった息遣いが静かな部屋に流れていた。








「アスカ・・・帰ろう・・・・僕達の家に」

シンジの言葉に顔を赤らめて頷くアスカ。

シンジの腰に回された腕はしばらく解かれることはないだろう。

「それじゃあ、洞木さん。僕達かえるから」

「じゃあね、ヒカリ。また明日学校でね。」

見つめあいながらさっそうと帰っていく二人。

当のヒカリは


「・・・もしかしてあの二人あたしに恨みでもあるのかしら・・・どう思うノゾミ?」

「・・・お姉ちゃんにと言うか・・・洞木家にあるんじゃない?」

いまだ顔の赤いノゾミ。

ちょっと小学生には刺激が強すぎたようだ。

「・・・・・・私達が何かしたって言うの?み・・みせつけて!!!!どうなのよ!!!どうして!!私だって鈴原と!!!!!!」

一気にねじがはずれるヒカリ。

「お姉ちゃん・・・・アキナのお兄ちゃんが好きなんだ・・・・」

ぽつりと呟いたノゾミの声は・・・・・・妄想の世界に足を突っ込んでもだえまくっている姉に注がれた。

「もうすずはらったら。優しいんだから」

くねくねと腰を曲げている姉に深い溜息をつくノゾミだった。

「・・はぁ〜・・・シンジ兄ちゃんもアスカ姉ちゃんも・・・お姉ちゃんも・・・小学生の前でやることじゃないわよ・・・・毎回毎回よくあきないわね・・・・・この三人は・・・・」

もう見るのも嫌だと自分の部屋にそそくさと戻っていくノゾミ。

残されてヒカリは未だにもだえていた。







「アスカ・・好きだよ」

「シンジ・・・あたしも」

でぃ〜ぷKISS


「すずはらぁ〜(はぁと」


幾度となく繰り返される三人の輪・・・・・再び同じことが起こるのを避けるすべはない・・・・


こうして洞木家?ノゾミの小学生の教育上不適切な行動をおこしている少年少女たちは今までと変わりのない夜をすごすのであった。