「えっと、麦兵衛さん今日は何が食べたいですか?」
「そうだなぁ・・・・肉じゃがとかがいいな」
「わかりました。頑張って作りますね♪」
「は・・・はい・・・(え、笑顔が可愛すぎる・・・・)」

夕日の中を連れ立って歩く二人
その様子は新婚夫婦そのものである
さて、この二人はどんな喜劇を見せてくれるであろうか・・・・・・・





桜舞う・あぷろーち 外伝1話





夕食の買い物をするためにスーパーに入る二人
楽しそうに談笑しながら各コーナーを回っていく
しかし、その様子を影から見守る者がいた

「マックス・・・・・ついに桜花ちゃんと一線を越える気か」

その者とは麦兵衛の先輩であり、舞人の親友の相良 山彦であった
その表情は何故か満足気であり、傍から見たら何度も頷いている変な男にしか見えないであろう
彼はとりあえず現在の状況を親友に伝えることにした

「お、もしもし舞人か?今スーパーにいるんだが」
『桜花と牧島のことだろ?』
「お!知ってたのか」
『知ってるも何も許可したのは俺なんだが」
「うーん、いい兄貴だねぇ」
『まぁ牧島がこまっ・・・・おわ、星崎いきなり抱きつい・・・うわぁぁぁ・・・』
「お、おい舞人!?死んだら屍ぐらいは拾ってやるから心配すんな!!」
『余計なお世話だ・・・って雪村・・・胸を押し付けるな・・・・』
「まぁそっちも修羅場ってわけか。頑張れよー。じゃあな」

そう言いつつ電話を切る山彦
だが、彼は知らない
背後にもの凄いオーラを漂わせた桜花がいることを

「まぁ今日中には桜花ちゃんとベットインかな。牧島のやつ」
「うーん、それは余計なお世話というものですよ?相良先輩(怒)」
「ははは、そっかぁ、それはしつれ・・・・・っ!!!」

山彦が顔を青ざめながら振り返るとそこには一人の修羅がいた
顔は笑っているのだが、額には青筋がくっきりと出ているし、目も笑っていない
さらに背景にはゴゴゴゴゴという声が聞こえてきそうな雰囲気まで出ている
そして、桜花の口から死刑宣告が言い渡された

「さて・・・・・最近体が鈍ってると思ってたところなんですよ」
「そ、そうかい?じゃあスポーツジムにでも行くといいよ。じゃあ俺はこの辺で」
「そんな必要ないですよ。今から動かすんですからねぇ・・・・さ・が・ら・せ・ん・ぱ・い♪」
「ちょ、ちょっと桜花ちゃん目がこわ・・・・・・う、うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

そして始まる地獄絵図
幸いにも麦兵衛はトイレに行っていてこのことを知らない
全てが終わったときには、ぼろ雑巾になった山彦が横たわっているだけであった
その光景を見ていた福井 トメさん(70)はこう語った

「桜花ちゃんもいい技持ってるねぇ。こりゃ先が楽しみだよ」と・・・・・・





買い物も終わり、麦兵衛の家へと向かう二人
だが、桜花は何故か顔を赤くしながら麦兵衛の顔をちらちらと見ている
麦兵衛もそれに気づいたらしく、内心ちょっと期待しながら声をかける

「桜花ちゃん、どうしたんだい?」
「え、えっと・・・そのぅ・・・・・・」

指を絡ませモジモジしながら麦兵衛の顔を見る桜花
ちなみに麦兵衛はそれだけで既に降伏寸前のところまで意識を飛ばされている
そして桜花の口から出た言葉は麦兵衛が待ち望んでいたものであった

「手、繋いでいいですか・・・・・・?」
「も、もちろんだよ!!」

返事を聞いた桜花は、顔を真っ赤にしつつも嬉しそうに手を繋ぎ、体を麦兵衛に寄せる
麦兵衛はというと、同じく顔を真っ赤にしながら桜花とのひと時を満喫している
ちなみに本人たちは気づいていないがその光景はご近所の奥様方に見られており、
その後町内に広まり数日間に渡って麦兵衛は皆からからかわれ続ける事になる
哀れな彼に合唱・・・・・・




―牧島家―

「お邪魔します」
「ただいま・・・・・って誰もいなかったんだっけ」

そう言って笑いあう二人
とりあえず荷物を置くべく麦兵衛は部屋に戻る
桜花も用意された部屋に入ったのだが、次の瞬間文字通り固まることになる
何故なら・・・・・

『頑張ってね♪ 親戚一同』と書かれた紙切れと避妊具が置いてあったからである

これは桜花でなくとも固まるであろう
様子を見に来た麦兵衛も同じように固まってしまう

「お、桜花ちゃん、とりあえずこれはなかったことに・・・・」
「は、はい・・・・・・(無理ですよ〜TT)」

気を取り直して夕食を取りに行く二人
だが、作る桜花も待っている麦兵衛もさっきの出来事のせいでどこかぎこちない
すると・・・

「っ!!」
「ど、どうしたの桜花ちゃん?」
「いえ、ちょっと指を・・・・・・」
「ちょっと見せて・・・・・ん・・」
「え!?ちょっとむぎ・・・ん・・・・!」

包丁で指先を傷つけてしまった桜花とその指を銜え消毒する麦兵衛
桜花は恥ずかしさのあまり顔が茹蛸になっている
麦兵衛はそんなこと思いもしてないのでなお性質が悪い
その後、なんとか再起動を果たした桜花だったが、顔は未だに真っ赤である

「うん、少し切っただけだね。絆創膏持ってくるよ」
「は、はいぃ・・・・・」

そして手当ても終わり、夕食を済ませた二人
夕食の際にも手が触れ合ったりしてドキドキしていたのは二人だけの秘密である
だが、このあと二人には大いなる問題が待ち受けていた




入浴と就寝という2大イベントが・・・・・・・・・





END





後書き

外伝1話終了!!今回は桜花&麦兵衛だ!!
桜花「うわぁ・・・・・ドキドキしてきました」
麦兵衛「お、俺もだよ・・・・・」
華蓮「初々しいわねぇ」
翠「青春ですねぇ」
やっぱ書いてて楽しいわこういうの。さて、締めるか。せーの・・・・・

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