舞人と希望が仲直りして数日
その後はこれと言った事件もなく、皆無事平穏に日々を過ごしていた
だが、彼らの知らないところでは着々とある計画が進められていた・・・・・

「ふっふっふ、これで我が家も安泰だ・・・・・舞人君など認めんぞ・・・・」





桜舞う・あぷろーち 第8話





―学校にて―

「結城先輩、何でここにいるんですか?先輩の教室は一個上のはずですけど」
「あら、舞人に会いに来ただけなんだけどいけなかったかしら?」
「や、そういう問題じゃなくて、今授業中なんですけど」
「いいじゃない、自習なんだから」

教室で睨みあうひかりと希望&つばさ
舞人はその光景に慌てふためいている
周りはさわらぬ神に祟りなしといった感じだ

「そ、それでひかり姐さんはどうしてここに?」

舞人がそう切り出すと、ひかりは溜め息をつきつつこう返した

「実は父さんのせいでお見合いする事になっちゃってね・・・・・」
「「「お見合い!?」」」

ひかりの話によると

・相手は大手電機メーカーの御曹司(名前は時任 貴彦)
・性格は海外かぶれのどうしようもないほどの自信過剰
・お見合いの場所は、邪魔が入らないように海上の豪華客船で行う

との事だった 
だが、希望とつばさはその相手に心当たりがあるようだった

「時任 貴彦・・・・どこかで聞いたような・・・・ああー!!」
「あ、あのキザで自信過剰なお坊ちゃまじゃん!!」
「そうなのよ・・・・・だから絶対にお見合いしたくなかったんだけどね・・・・」
「父親に無理矢理セッティングされた、と」
「ご名答。今週の日曜日に決行するって張り切ってたわ」

そう言いつつひかりは机に突っ伏していった
希望は少し考えた末、つばさに相談を持ちかけていた

「八重ちゃん、これは放っておけないと思うんだけど」
「同感。一肌脱ごうじゃないの」

二人は燃えていた 舞人が思わず引いてしまう位に燃えていた
二人の思惑はこうである

・ひかりに貸しを作れるうえに舞人にいい所を見せるチャンス
・時任をギャフンと言わせたい

そんなわけだから時任はちょっと可哀想かもしれない
なにせ日本の有力者の娘二人がコンビを組んで敵に回るのだから・・・・・

「え、えーと。俺はどうすればいいんだ?」

舞人が多少引きがちに切り出すと意外な答えが返ってきた

「舞人君は家に居た方がいいと思うよ」
「だね。時任みたいな奴に会わせるのは嫌だし」
「ま、私達の帰りを待っててちょうだい」

舞人は多少面食らった様子だが「了解」と言ってその場を離れていった
そして作戦を立てる3人
はたしてどうなることやら・・・・・・





―お見合い当日―

「さあ、ひかりさん。どうぞお召し上がれ」
「ど、どうも・・・・」

目の前の豪華な料理をいかにも自分が作ったかのように見せる時任
ひかりは心の中で「やっぱこいつ嫌な奴ね」と思っていた
そして趣味はなんだとか自分はこういう家庭を作りたいなどと会話を続ける二人
一方希望たちはというと・・・・

「準備OK!!いつでもいけるよ八重ちゃん!!」
「こっちもOK!!んじゃ、時任のアホ面でも拝みに行きますか!!」
「「「「サー、イエッサー!!」」」」

すでに発信準備OKであった
ちなみに今回は海上の作戦のため、ヘリで近づきパラグライダーで奇襲をかけることになった
まず、黒服たちが船上で警備の人間を引き寄せ、、その隙に希望たちがひかりたちの元へ行くという作戦である
そして・・・・

「「では!ミッションスタート!!」」
「「「「イエッサー!!」」」」

全ての準備が整い作戦を開始する希望たち
そのころひかりたちは・・・・

「いやいや、貴女ほどの美しい方は今まで見たことがない」
「はぁ、どうも・・・・・(ふん、下心がミエミエだってのよ)」

時任の言葉攻めが始まっていた 最もひかりは全く相手にしていないが・・・・
だが次の瞬間、時任にとって予想外の出来事が起こる
突如現れた多数のヘリが船に向かってきたのだ

「な、何だあのヘリの集団は!?」
「坊ちゃま、多数の黒服が奇襲をかけてきました!!警備の者が総動員であたっておりますが多勢に無勢で」
「ええい、五月蝿い!!さっさと始末してしまえ!!」
「は、はい坊ちゃま!!」

時任の剣幕に焦って走り去る執事
ひかりは内心大笑いであった

「(うぷぷぷ・・・焦ってる焦ってる)」

そして我に返った時任がひかりを連れ出そうとするが

「ひかりさん、ここは危険です。さぁ、僕と一緒に奥のほうへ・・・・」
「「そうはいかない!!」」
「な!?その声は!?」

パラグライダーに乗って現れた希望とつばさに行く手を塞がれてしまう

「希望さんにつばささん!?どうしてここに!?」
「ひかりさんに貴方の本性を教えるためだよ」
「あんた、他にもかなりの女の子に声を掛けてるそうじゃないの」
「うっ!そ、それは・・・・・」
「ほー・・・・・「いやいや、貴女ほどの美しい方は今まで見たことがない」って言ってたのにねぇ・・・・」
「しかもその言葉、私たちにも言った事あるんだよねぇ・・・・」
「そうそう、おまけにシチュエーションも同じだったしねぇ・・・・・」
「う、うるさい!!お前たちが素直に僕の物にならないから・・・・・・」

とうとう本性を現し激高する時任
そこへひかりの父親が現れる それもかなり怒っている様子で・・・・

「ひ、ひかり!!お前は何をやっているんだ!!こんないい話は他にはないというのに・・・・」

その一言でひかりはぶち切れてしまう
希望たちは時任を「貴方が一人前を気取るなど100年早い」と言いつつボコっている
そして・・・・・

「もう頭来たわ!!お父さん、私家を出て舞人の家でお世話になる!!」
「な、なんだと!?そんな事許すわけないだろう!!」
「五月蝿いわね!!娘の幸せぶち壊そうとする父親の元になんていられないってのよ!!」
「なにい!?「その通りね」・・・え?」
「お、お母さん!?」

ひかり父が最も恐れ、ひかりが最も頼りにしている母が姿を現した
希望とつばさも時任を放り出して傍に駆け寄ってくる

「ひかり、貴女は思うとおりにやりなさい。それと希望ちゃんにつばさちゃん。ありがとうね。」
「お母さん・・・・・ありがと♪」
「「いえいえ、お気になさらず♪」」
「さて・・・・・あなた?」
「な、なんだね?」
「一人で勝手に暴走するわ、ひかりの将来ぶち壊そうとするわ・・・・覚悟はいいわね?」
「わ、私はひかりの将来を思って・・・・」
「・・・・だったら何故私たちに相談しなかったの?」
「そ、そりゃあお前たちに相談したら反対されるだろうから・・・」
「あったりまえでしょうが!!娘をダシにして自分の腹膨らまそうとする父親が何処にいるってのよ!?」
「う、うるさい!!私だってもっともっと良い思いしたいんだ!!」
「いい加減にしなさい!!これ以上たてつくなら家事炊事一切やらないからね!!」
「そ、そんな馬鹿な!?」

突然の事に焦り狂う父親 周囲は「自業自得だ」と言わんばかりの雰囲気である

「さ、行きましょ。ここにはもう用はないし」
「「「はーい。」」」

そしてさっさと退場していく女性陣
黒服たちは船上の警備を片付けた後引き上げていた
後に残されたのはボコられて気絶している時任と放心状態の父親に、これまた気絶している警備の人達だった

「ううう・・・・・なんで僕がこんな目にぃ・・・・」
「わ、私の計画がぁ・・・・・」

まぁ、所詮悪役の末路などこんな物である
哀れな彼らに合掌・・・・・・





―星崎家―

「んで、無事に事が終わり戻ってきたと」

連絡を受け呼び出された舞人が言い終わると会心の笑みを見せ頷く希望、つばさ、結城母娘
今現在リビングには上記のメンバーに小町、かぐら、青葉が加わっている

「とりあえずあの人はしっかりとお灸をすえておくから、舞人君、悪いけど・・・・」
「ま、しゃーないっすね。ひかり姐さんなら何度か泊まりに来た事あるし・・・・」
「よろしくね、舞人♪」
「「「・・・・・いいな〜。」」」
「他の面々は又今度な」
「「「は〜い。」」」
「ひかり姉さん、紹介したい人がいるって言ってましたけど」
「あ、そうそう「御免くださ〜い!」って来たみたいね・・・・・」
「は〜い。今開けますね〜」

そして希望が一人の女性を連れてくる
体つきは良いのだが背が小さく、下手すれば中学生ぐらいに見える女性だ

「始めまして、ひかりの同級生で里見 こだまといいます」
「「「「「ど、同級生!?」」」」」
「はぁ・・・・・やっぱりこういう反応よね・・・・」
「ま、こだまちゃんだしねぇ・・・・・・」

ひかり母娘以外は面食らった顔でこだまを見つめている
こだまはというと何故か顔を紅くしながら舞人を見ていた

「え〜と・・・貴方が桜井 舞人君だよね?」
「そうですが・・・・」

その瞬間、桜花とひかり母を除く女性陣はある予感を抱いていた
そしてそれは現実の物となる・・・・・・

「私、貴方に一目惚れしちゃったみたい。付き合ってくれないかな?」
「え?・・・・・・・ええ〜!?」

顔を真っ赤にしながら告白するこだまと焦る舞人

「ちょ、ちょっとこだま!?あんたこの前の小説の観想言うだけだって」
「もう〜。舞人君節操なさ過ぎだよ〜」
「や、もうこれは犯罪の域まで達してるね」
「先輩ったら・・・・私達だけじゃ足らないって言う事ですか?」
「舞人さんを巡るライバルがまた一人ですか・・・・・負けません!!」
「おにいちゃん、どんどん許婚が増えてくね」
「舞人君も大変ね〜。見てるほうは面白すぎるくらいだけど」
「お兄ちゃんを慕う方がまた一人・・・・・・お母さんに知らせないと!!」

それぞれ思い思いの感情を顕わにする面々
今日も桜坂は平穏な日であった ある一部を除いて・・・・・・

「俺はぜんぜん平穏じゃね――――――――!!」

彼の幸せな苦悩は終わらない・・・・・・・




END




後書き

第8話終了!!そしてこだま先輩登場!!
こだま「やっと出れたよぉ」
ひかり「やっとやっとの登場ね」
華蓮「これからどんな役回りになるの?」
翠「その辺はもう考えてあるんですか?」
いんにゃ。これから考える!!
「「「「・・・・・・計画性0のへたれ作家」」」」
うぐぅ・・・・ま、まぁさっさと締めて遊びにでも行こうじゃないか せーの・・・

「「「「「ご感想、ご意見はBBSかsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします では!!」」」」」