俺が小説を読み終わると同時に、お袋たちが出てきた
とりあえずここはこうしたほうがなどと感想を述べてひかり姐さんに返す
「と、とりあえず感想はそんなとこっす」
「ん。ありがと・・・・っともう一つあるのよ。これは家に帰ってから呼んで頂戴」
「了解っす」
そう言いつつ小説を受け取る
しかし受け取る瞬間、ひかり姐さんの顔が赤かったような・・・・
ま、恋愛小説でも書いたんだろう
さあて、今度はどんな話を書いたのやら・・・・・・
桜舞う・あぷろーち 第6話
家に帰り小説を取り出す俺
桜花が私も見たいですと言ってきたので一緒に見ることにした
「さて、読んでみるか桜花」
「はい。ひかり姉さんの小説はいつ見ても面白いですから」
小説の1ページ目を開くとあらすじが書いてあった なになに・・・・
―ここに一人の少女がいた
眼鏡をかけ、理知的な雰囲気を漂わせる少女
だが、彼女には一人の思い人がいた
卒業間近に入部してきた一人の青年
彼は彼女とは正反対ともいえる性格だった
そして彼女は彼にこの思いを伝えるべく、恋の物語を紡いでいく
それは舞い散る桜のように、切なく、そして美しいストーリー・・・・・―
「ふーん、やっぱ恋愛系か。だからひかり姐さん渡す時顔赤くしてたのか」
「・・・・・そ、そうですね・・・・・(ひかり姉さん、こういう手で来ましたか・・・)」
そして次のページから始まる物語
要約するとこうだった
主人公は文芸部の部長で眼鏡をかけた女の子
卒業間近に入ってきた一つ年下の男子生徒に興味がわく
最初こそ彼独特の雰囲気に振り回されるものの、徐々にそれが楽しみとなっていく
そして彼女の中に生まれる恋心
だが、鈍感な彼は彼女の心など知ろうはずがない
そしてその事を知った彼女は彼にその思いを伝えるべく、行動を開始する
そして迎えた卒業の日
彼女は彼に告白し、彼はそれを受け入れる
そこから始まる幸福な日々・・・・・
「ふむ、なかなか面白かったな。」
「え、ええ・・・・(お兄ちゃん、自分が書かれてることに気づいてませんね・・・・)」
「さて、こんな時間か。そろそろ寝ないとな」
「は、はい。お休みなさい、お兄ちゃん」
「ああ。お休み、桜花」
そして桜花は小説片手に部屋に戻っていった
さあてそろそろ寝るかな・・・・・
―そのころ桜花は―
「ひかり姉さん、お兄ちゃん全然気づいてませんよ」
「嘘・・・・・あいつ何処まで鈍感なのよ・・・・」
「ま、まあそこがお兄ちゃんたる所以ですし」
「はぁ・・・・しょうがないわねぇ・・・・いいわ。こうなったら明日からとことんアプローチかけるから」
「はい、頑張ってください♪ライバルは手強いですけど」
「望むところよ。じゃあ、お休み。」
「はい、お休みなさい・・・・・ふぅ、ひかり姉さんも大変ですね」
そう呟きつつ部屋に戻る桜花
だが、彼女の顔は笑顔だった
なにせ、姉候補が一気に増えたのだから
彼女の悩みは解決される日はそう遠くないであろう・・・・・
―翌朝ー
「ふぁ〜あ、よく寝た・・・・おはよう、おう、か・・・・?」
「あら、舞人おはよう。朝ごはんできてるわよ。早く食べちゃいなさい」
「な、なんでひかり姐さんがここに!?」
「あら、昨日言ったでしょ?私も舞人の許婚になるって」
「いや、そうじゃなくて!!って桜花は・・・?」
「桜花ちゃんなら部屋で支度してるわよ」
「そ、そっすか・・・・謀ったな、桜花・・・・・」
とりあえず、席に着き朝食を取る俺
だが、ひかり姐さんは俺の隣に座るとすかさず攻撃を開始してきた
「はい、舞人。あーん♪」
「うっ・・・・・あ、あーん」
「ふふっ。おいしい?」
「は、はい・・・おいしいです・・・・」
「あら、頬にご飯粒が・・・・ん・・・・」
「う、うわわわわ、ひひひひひかり姉さん!?」
「クスッ。慌てすぎよ、ま・い・と♪」
だ、駄目だ・・・・・こうなったら勝ち目はないっていうかいきなりキスですか!?
所詮俺は女性にとことん弱いんだなぁと再認識してしまった
そして朝食を食べ終わり、家を出ると・・・・
「舞人君、おは・・・・ああー!!」
「ちょ、ちょっと舞人!?なんでひかり先輩がここにいるのよ!?」
「せんぱい、もしかして同棲ですか?」
「舞人さん、よろしければ私もお願いします!!!」
「おにいちゃん、私もー!!」
俺の(自称)許婚候補たちがご到着なされていた(滝汗
ああ、これでややこしい事態になる事大決定・・・・・
ちなみにひかり姐さんと桜花は・・・・
「ふふーん、これで一歩リードかしら?」
「お兄ちゃんなら決定的とは言えませんねぇ」
「ま、確かにそうね。ここからが本番よ」
とかかなりキワドイ事をおっしゃっている(汗
「お、落ち着いてくれみんな。まだ同棲と決まったわけじゃない」
「「「「「・・・・・なーんだ。」」」」」
「いつかそうなるけどね」
「「「「「・・・・・そんなことさせません!!」」」」」
「あら、挑戦状?面白いわね、受けて立つわよ」
「これでお兄ちゃんの将来は安泰です♪」
「お、桜花さ〜ん・・・・・」
絶望に打ちひしがれる俺と嬉しそうな桜花
とりあえず気を取り直して学校へ向かうことにしよう
うう、凛の気持ちがよくわかるぜまったく・・・・・・
―放課後―
「舞人、何だか疲れてるな」
「ああ、凛か・・・・いやなに、お前の気持ちが今になってよくわかると言う事さ」
俺に声を掛けてきたのは、親友でクラスメートの土見 凛
一見普通の学生に見えるが実は何人もの婚約者がいる
しかも全員とびきりの美少女とくれば男子生徒の恨みを買わざるを得ない
性格は一言で言うならいい奴と言っておく
「俺の・・・・?ま、まさかお前にも・・・?」
「ああ・・・自称許婚が7人も」
「そ、そうか・・・・で、相手は?」
「星崎に八重樫、一つ年下の雪村、二つ下の芹沢に森、一つ年上の結城先輩と里美先輩だ」
「うわ・・・・・ま、まあお互い頑張っていこうぜ」
「ああ。お互いにな」
そう言って握手する俺達
ほんの数ヶ月前までは他人事だったのが今では凛と同じ境遇になるとは・・・・ってちょっと待て!!
という事は俺も凛みたいに学園の男子を敵に回したということか!?
あわわわわ・・・・・
「舞人ー。ちょっと・・・・って何青ざめてんのよあんたは」
「あ、ひかり姐さん。なんでもないっす。それより何か?」
「今度の休み空いてる?ちょっと付き合って欲しい所あるんだけど」
「いいっすよ。時間とかどうします?」
「それは前日に教えるわ。連絡入れるから待ってて頂戴」
「うい。了解っす」
「ありがと。じゃあね、舞人」
そして颯爽と踵を返し去っていくひかり姐さん
とりあえず俺も帰ることにした
「じゃ、俺も帰るか。じゃあな、凛」
「ああ、また明日な舞人」
凛は友達を待つと言って残るらしい
さあて、俺も帰るかな・・・・・
ゾクリ
「な、なんだ今の悪寒は!?」
慌てて周りを見渡すが誰もいない
気のせいなのかな・・・黒服の連中ではないみたいだし
なんだか嫌な予感がするな 急いで帰るか・・・・・
―希望視点―
「舞人君がデート・・・・・こうしちゃいられない!!」
掃除当番で遅くなっちゃったから舞人君誘って帰ろうと思ったけど・・・
まさかひかり先輩がデートに誘うなんて・・・・
すぐに家に帰って色々と準備しないと!!
「舞人君は渡さないんだから・・・・・」
私は知らず知らずのうちにそう呟いていた
舞人君だけは誰にも渡せない
だってこの世で唯一の支えになってくれる人なんだから・・・・
END
後書き
第6話終了!!
華蓮「ひかりも大胆ね〜。いきなりデートに誘うなんて」
翠「でも希望ちゃんもそれを聞いてたみたいですね」
この続きは第7話でお楽しみください では・・・・
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