「ふぅ、やっと着きましたぁ。もう体がガチガチですよ」

桜坂駅の入り口でう〜ん、と背伸びをする女性
腰まで伸びたブラウンの髪にネコミミが非常に印象的な美女である

「さて、ちゃっちゃと行きますか。待っててくださいね〜、舞くん♪」







桜舞う・アプローチ 第15話







事の起こりは数時間前に遡る・・・・・・

「へぇ〜、舞人君がねぇ」
「ああ、あいつ何時の間にジゴロになったんだか・・・・」

そう言いつつ笑いあう2人の女性
谷川家の主婦 晴香と桜井家の主婦 舞子である
舞子と晴香は高校時代からの親友であり、現在も暇があればちょくちょく遊んでいる
今日は2人とも仕事が休みなので、谷川家にて2人で談笑していたのだが・・・・・

「ふふっ、昔から顔は悪くなかったしね」
「まぁあいつは性格上困っている子を見逃せないからな」

話はもっぱら舞人の近況についてであった
実は舞人は幼い頃に谷川家を訪れたことがある
その時に谷川家の面々と出会い、面倒を見てもらっていた
中でも一番舞人のことを可愛がっていたのが・・・・・

「そういや、なすのちゃん元気か?随分とご無沙汰だが」

舞子の話に出てきた、谷川家の長女、なすのである
年は舞人の2つ上で今年大学を卒業 今春から桜坂総合病院勤務である
なすのは大学進学と同時に桜坂市を離れ、一人暮らしを始めていた

「ええ、元気よあの子は。だけど舞人君の事聞いたらすっ飛んでくるんじゃないかしら」
「ふむ・・・・」

その言葉に反応して考え込む舞子
晴香はそれを見た瞬間、面白いことが起こりそうだと笑みを浮かべていた
そして・・・・・

「晴香」
「電話ならそこよ。番号はこれ」

アイコンタクトでお互いの意思を感じ取り、行動を起こす二人
その素早さは特筆級である
しかも表情は段々と怪しい笑みになってきていた

『はい、なすのです』
「よぅ、なすのちゃん」
『あれ?その声は舞子小母様じゃないですか』
「お、よくわかったな。元気そうで何よりだ」
『はい、おば様もお変わりない様で♪』
「ふふふ、相変わらずいい子だな・・・・っとそうだ。実は舞人のことなんだが」
『っ!?舞くんがどうかしたんですか!?』
「いやぁ、あいつに嫁さん候補が出来てな・・・・」
『・・・・・・え゛?」
「しかも一人じゃなくて何人もいてな。あいつもやる様になったもんだよ」
『そそそそ、そんなぁ・・・・・・舞くぅん・・・ふ、ふにゃぁ〜(泣』
「だが、まだ手遅れじゃないぞなすのちゃん。舞人はまだ誰にするかは決めてないからな」
『そ、そうなんですか?よ、よかったぁ・・・・・』

予想通りの返答に、受話器の前でニヤリと笑う舞子と晴香
その表情は某ロボットアニメの髭指令にそっくりである
一方なすのは・・・・・・

『おば様、有益な情報ありがとうございます。早速そちらへ参りますから!!』

と、参戦する気マンマンである(笑)
もはややる気ゲージはリミットブレイクしそうな勢いであった
この状態になったらもはや兄である、通称ドクターイエローこと谷川 浩暉でも止められないのだ

「あぁ、住所は・・・・・だ」
『・・・・・・はい、わかりました』
「まぁ舞人は逃げないしゆっくり来るといい」
『はいっ!では、失礼します!』
「・・・・ふふふ・・・・これでよし」
「貴女も悪い女よねぇ」
「それはお互い様だろう」

怪しい笑みを交し合う2人
その様子を見た谷川家の主、高志氏はこう語る

「背後に越後屋と悪大名の姿が見えた」と・・・・・・・








―桜坂市 商店街―

「舞くん元気にしてますかねぇ・・・会うのが楽しみですよ♪」

上機嫌で舞人の家を目指すなすの
道行く人々はネコミミ美女の出現に目を引かれているようだ
ふとなすのが前方を見ると一組の男女が見えた
しかもその男女は・・・・

「ねぇねぇ舞人君。今日の夕ご飯は何食べたい?」
「そうだな・・・・・」

なすのの思い人である舞人と、ライバルになる希望であった
それを見るやいなや走り出すなすの
舞人の傍へ駆け寄り背中に抱きつく

「ま〜いくん♪」
「うおっ!?ってその声・・・・もしやなすのさんっすか!?」
「はい、正解です♪お久しぶりですね舞くん」
「む〜、舞人君鼻の下伸びてる〜」
「そ、そんなことないって!・・・・でも気持ちいい・・・・」
「クスクス。顔真っ赤ですよ舞くん♪」
「う〜、なら私も〜!!」
「うあっ!?ほ、星崎さんも結構なお手前で・・・・・」
「えへへ〜、ありがと舞人君♪」

顔が真っ赤な舞人と嬉しそうに抱きついている希望となすの
腕に当る柔らかな感触が舞人の思考能力をより一層奪っていく
無論、周りの視線は興味半分嫉妬半分である

「ふ、二人とも・・・・・とりあえず離れてくれ・・・・」
「「嫌です♪(即答)」」
「そ、即答ですかい・・・・」

なんとか説得を試みる舞人だが一蹴されてしまった
永遠にこのままなのかと思っていたその時、彼に救いの手が差し伸べられた
まぁ、彼にとっては救いかどうかは微妙な所だが(笑

「ああ〜、おねえちゃんたちずるいよ〜っ!」

桜井家の居候第2号 森 青葉の登場である
可愛らしく頬を膨らませながら駆け寄ってきていた

「おお青葉ちゃん。丁度よかったこの人たちをなんとか・・・・」
「私もおにいちゃんに抱きつく〜」
「って青葉ちゃんも参戦表明ですかっ!?」

そして宣言どおり舞人に抱きつく青葉
この時点で舞人の完全敗北が確定してしまった
女性には弱いところのある彼では無理矢理引っぺがすという行為は期待できない

(ぬおお・・・・この状況は嬉しがるべきか嘆くべきか・・・・)

美女3人に抱きつかれるという嬉しい状況
しかしそれは周りの目を気にしなくてもいい時のみ限定である
既に周りには人だかりが出来ていた
舞人が耳を澄ましてみると・・・・・

「ちょっと奥さん、あの子たち・・・・」
「ええ、浮気ってわけじゃないみたいね」
「う、羨ましい・・・・」
「くそぅ、昼間っから見せ付けやがって!!」
「悔しくなんかないぞコノヤロウっ!!」

どうやら教室だけでなく此処でも舞人の寿命は一段と縮まりそうである(笑
身の危険を感じた舞人は3人を説得して直ちに移動を開始するのであった
だが、彼は気づいていない
その行為は彼にとって問題の先送りにしかならないことを・・・・・・・








END

第15話終了!!そしてなすの登場!!
なすの「みなさん、よろしくお願いします♪」
なすのはそれ散るファンブックにあった没キャラでございます
ちなみに正式プロフィールはこうなっております

谷川なすの 誕生日10月22日 血液型B型
      身長163cm 3サイズ上から 84・58・86
      桜坂医療女子短大 第1看護科1年 手話部所属
      趣味 料理 猫とマーキュロの匂いが好み
      
翠「ネコミミ仲間です♪」
華蓮「次回はどうなってるの?」
まだ未定。では締めようか せーの

「「「「ご感想、ご意見はBBSかsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします では!!」」」」






おまけ

「あぁ?なすのがあのクソジャリを追ってっただぁ?」
「ええ、さっき連絡があったのよ」
「・・・・・へっ。こいつは面白いことになりそうじゃねぇか ククク・・・」
(舞人君も大変ね〜。まぁ面白いから放っておこっと♪)